元新宿サラリーマンのトカイナカ暮らし

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長年勤めた大企業を辞め、田舎で梨作りをしながら豊かな人生を考えるブログ

【梨農家の裏側】企業の事業計画と同じくらい重要な「冬の剪定・誘引」とは【利府梨の生産】

こんにちは!たかゆき@トカイナカ暮らしです。

 

僕は、昨年、新宿の大手通信会社から宮城県利府町地域活性化の仕事に転職しました。

 

現在は、名産品である利府梨の生産から6次産業化まで携わっています。

 

現職に就く前まで、梨は秋に収穫する果物なので、梨農家の冬は悠々自適な日々を送っていると思っていました。笑

 

実際に蓋を開けてみると、冬は悠々自適どころか、梨の今後の収穫量を決定する重要な仕事「冬の剪定・誘引」を行っています。

 

この「冬の剪定・誘引」という仕事は、企業でいうところの「事業計画策定」で、梨の花が芽吹く春までに完了させなければいません。

 

今回は、この重要な仕事である「冬の剪定・誘引」を通して梨農家の裏側をお伝えします!

 

【目次】

●梨農家の事業計画「冬の剪定・誘引」の面白さ

●実際の「冬の剪定・誘引」模様

●まとめ

 

●梨農家の事業計画「冬の剪定・誘引」の面白さ

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「冬の剪定・誘引」は、梨の収穫量最大化に向けて、不要な枝を切り落とし、収穫するための枝を選び、棚に誘引する仕事です。

 

なぜ、冒頭に「冬の剪定・誘引」を企業の「事業計画策定」に例えたかというと、単年だけでなく3~5年後までの中長期的な収獲量までを考えて、一本一本の梨の木をデザインする重要な仕事だからです。

 

まずはじめに、今年の梨の発育や病害虫状況を鑑みて、梨畑全体の木作りの戦略を立てた上で、一本一本、花芽のついた枝から効果的に梨を獲るにはどうするか戦術を決めます。

 

もちろん、落とした枝から梨は収穫できないので、当初立てた戦略・戦術に従って、ブレずに剪定を進めていく必要があります。

 

単純に、梨になる花芽の数だけを考慮して、収穫する枝を決め、誘引(枝を棚に結ぶ)すれば良いというものでありません。

 

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ぷっくり膨れた蕾が花芽です。

 

そこに、下記の複数の要素を考慮して剪定を行うため、とても頭を使います。

  • 隣の木との重複
  • 木全体の栄養バランス(光合成する枝や葉を考慮する等)
  • 古い枝(短果枝)より若い枝(長果枝)を優先する
  • 枝の間隔 等々

 

更に、梨を獲るための枝を決定した後は、誘引をはじめ以下のような細かい作業を行います。

  • 枝を棚に誘引するための捻枝
  • 複数ある花芽を1つに整理する
  • 新梢を出すために枝の先端を切り落とす
  • 剪定した傷に薬(パッチレート)を塗る 等々

 

サラリーマンも梨農家も近視眼的にならず、大局的な視野を持った上で細部の仕事を実行することが大切だと再認識させられました。笑

 

では、実際の「冬の剪定・誘引」をみてみましょう。

 

●実際の「冬の剪定・誘引」模様

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原則、「冬の剪定・誘引」は古い枝(短果枝)は落として、新しい枝(長果枝)の花芽を使います。

 

梨も人間と同じように、子孫繁栄のため、若者に新たな道を譲ります。笑

 

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参考まで、左側が古い枝(短果枝)で、枝の上から縦に枝がビュンビュン生えています。一方で、右側の新しい枝(長果枝)は、枝対して直に花芽がついています。

 

先程、原則と記載したのは、病気の発生状況や新しい枝(長果枝)に花芽がついてない時などは、敢えて古い枝(短果枝)を利用する場合があります。

 

お笑い界の古い枝(短果枝)である明石家さんまさんは、業界全体を俯瞰して、敢えて若手にポジションを譲らないのかもしれませんね。笑

 

冗談はさておき、梨を獲る枝を決定したら、梨棚に枝を誘引するために、枝の腹と曲げる部分に切れ目を入れ、枝と棚が水平になるように曲げる作業「捻枝」を行います。

 

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この「捻枝」は、力の入れどこを間違えるとバキッと枝そのものが折れてしまうため、慎重かつ丁寧に行います。

 

枝を落とすと取り返しがつかないことを前述しましたが、当初「捻枝」が上手くいかず、何本か枝を葬り去ってしまいました。

この場を借りて謝罪致します。

 

話が逸れましたが、そもそもなぜ「捻枝」をして梨棚に誘引するのかというと、大きく3つの理由があります。

 

  • 甘く大きい梨を作るべく太陽の光が梨全体に当たるようにする。
  • 梨の木を人間の背丈に合わせて、作業(受粉・摘果・収獲等)をやりやすくする。
  • 台風による梨の落果を軽減する。

 

このように、頭と体を使う「冬の剪定・誘引」は時を忘れて没頭してしまいます。

 

では、実際に作業のビフォーアフターを畳み掛けてお伝えします。笑

 

 

▼左がビフォー、右がアフターです。 

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なんということでしょう。 

匠により古い枝(短果枝)が伸び放題の畑が、目にも美しい和風庭園のような畑に生まれ変わりました。

 

・・・晴れて任務完了と言いたいところですが、実は担当している畑が2つあり、片方が終わっただけです。汗

 

それも、もう一方の畑が大きいので、進捗率40%といったところでしょうか。

 

春になり梨の花が咲く前に、「冬の剪定・誘引」が終わるよう集中して頑張ります。

世のサラリーマンの皆様も事業計画策定、頑張ってくださいね。笑

 

●まとめ

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いかがでしたでしょうか。 

 

梨農家は、秋に美味しい果実を収穫するため、「冬の剪定・誘引」から開始して、1年がかりで梨を育てます。

 

この作業の良し悪しで、収穫量や果実のサイズが決まる、最重要工程といっても過言ではありません。

 

秋に皆様の手元に梨が届く頃、梨農家が年の始めに考え抜いて残した花芽の一つだということを思い出して頂くと、より一層、美味しく感じるかもしれませんね。

 

更に、読者の皆様が梨を美味しく食べられるよう、季節ごとの利府梨の生産ストーリーを伝えていきます。

 

 んではまた!

 

▼夏に必死こいてベランダで誘引の練習をしました。笑

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▼利府梨の6次化として「利府梨のスパイスカレー」を開発中です。

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▼大企業から地域活性化の仕事に転職した理由。

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