こんにちは!たかゆき@トカイナカ暮らしです。
僕は昨年、大企業を辞め東京から宮城県利府町に移住し、梨作りに携わっています。
利府町は何といっても甘くて大きい利府梨が名産品です。
利府梨は大きいもので1,000ℊにもなります。
ステーキに置き換えて考えてみるとものすごいボリュームですね。
ステーキに例える必要があったのかはさておき、そんな甘くて大きな梨をどうやって作るか気になりませんか?
ということで、今回は甘くて大きい梨を作る「摘果」の目的やポイントを実際の写真とあわせて楽しくお伝えします!
目次
●甘くて大きい利府梨を作るための摘果とは?
●摘果のビフォーアフター
●摘果は貴婦人達の憩いの場
●甘くて大きい利府梨を作るための摘果とは?
甘くて大きい利府梨を作るためには、摘果といって不要な実を落とさなければいけません。
今の時期は粗摘果といって、梅雨入り前までに小さいものや形が悪いものを落とします。その後、梨の生育状態をみて一本の枝から5~7程度の実がなるように最終摘果を行います。
摘果の目的は、残した実に栄養を集中させることと病気を防ぐことの2点です。
食べれる実を落とすのはもったいない気もしますが、さくらんぼ🍒のような小さい梨になったり、病気になって収穫できなければ本末転倒です。
余談ですが寅さんは生前、「目方で男が売れるなら、こんな苦労もかけまいに」と嘆いていましたね。
人間と違って、梨は目方(大きくて重い)で売れるんです。
梨は性格の良し悪しに関わらず、見た目で商品力が決まります。
皆様の食卓に並ぶ梨は、厳しい競争の中で打ち勝った一握りのエリートとも言えますね。
では実際に、このエリートが選出される摘果をみていきましょう。
●摘果のビフォーアフター
冒頭でもお伝えした通り、残した実に栄養を集中させる&黒星病等の予防をするために摘果を行います。
特にこの黒星病はやっかいで半径1㎞も飛び、実や枝に大きなダメージを与えます。
黒星病に感染しないよう、三密を避けソーシャルディスタンスを確保する必要があります。
これでは…密です!
これも…密です!
摘果しないと全部密なんです!!!
このままではクラスターになってしまうので、以下のポイントで残す実を選定し、摘果していきます。
- 真ん中にある実(3番果~5番果)
- 果軸が長く・太いモノ
- 果実が大きく、サラカムリ型(お皿を被ったような形)のもの
摘果は、実を落としたら取り返しがつかないので、1つ1つの作業が真剣勝負です。
この緊張感ある作業を長時間続けると、不思議と気分が良くなっていく「ランナーズハイ」ならぬ「摘果ーズハイ」という状態になります。利府町では「摘果ーズハイ」を体得して、はじめて一人前の梨農家として認められます。
…冗談が過ぎました。
では先程の三密状態から、摘果のビフォーアフターをご覧頂きましょう。
さっぱりしましたね。
梅雨前に無事、ソーシャルディスタンスを確保し、見た目の良い実を残すことができました。
●摘果は貴婦人達の憩いの場
広い梨園の摘果は大変なので、利府町の貴婦人達の力も借りて作業を進めます。
皆さん「摘果ーズハイ」になり、楽しそうに仕事をしています。休憩は梨棚の下にシート敷きお茶をしながら談笑します。
僕もこの貴婦人達の憩いの場にちょくちょくまざり可愛がって頂いています。
僕は独身なのですが、よく貴婦人達から「何歳まで許容範囲なの?」と質問をされます。
十数年の社会人経験から処世術を身に付けた僕は、その場の貴婦人達の想定年齢+αを算出し、「60歳後半くらいですかね!」と答えます。
そうすると、ウケは上々で沢山のお菓子や飲み物を頂けます。笑
…話がそれましたが、梨の摘果は雇用も創出し、地元の方々のコミュニケーションの場にもなっていて価値のある伝統的な仕事だと感じました。
梨作りを通して、こうした町の素敵な文化も大切にしていきたいと思う今日この頃です。
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んではまた!